吹雪の秋田での仕事を終え、関東に戻る新幹線。昨夜食べた「本場」のキリタンポ鍋は、確かに絶品だった。特に、天然の舞茸は、地元でもなかなか手に入らない、とても貴重なものだったようだ。 だが、お会計の数字もまた、これまた立派なものだった。地元の方はこういう時『ドデした(驚いた)』と言うらしい。あいにく『どうでした?』と感想を聞けるような雰囲気ではない。ただ、ただ、その数字に、俺の財布がドデしていた。 「美味いものには代償が伴う。それは、わかる。…… だが、俺の日常は、もう少し気楽な、別の場所にあるはずだ」 明日の埼玉での仕事に備えて、大宮駅で下車し 予約したビジネスホテルへ向かう途中のスーパー。 秋田ではあんなに探しても見当たらなかった、手ごろな「白き円筒」が、ここでは当たり前のような顔をして、百円程の値を提げて山積みされている。 キリタンポ一袋分で、この円筒が何本買えるだろう。 ……そんな無粋な計算は、よそう。 大事なのは価格じゃない。…
今日も、やっと仕事が終わった。 「今日はくたびれた。何か、買って帰ろうか…」 お惣菜屋のメニュー札、「焼きイカ」は裏返しになっている。 「売り切れか。そういえば、最近、スルメイカを見なくなった。 あの、堂々とした胴体、つやつやした皮。」 「あぁ、急にイカが食いたくなった! 腹が減った…」 気がつけばスーパーの魚売り場に。 片隅には、 薄皮がところどころ剥がれかけた、 どこかみすぼらしいヤリイカが並んでいる。…
※コチュジャンを使わないので、ビビンバではありません。 大変だったハンティング用品店の仕事が終わり、出張先のビジホへ向かう腹之下三郎。コンビニへ入るも、見事にお弁当は売り切れ。 隣の焼き肉屋からは、えもいえぬ香ばしい香りが、イジメのように漂ってくる。 「世間では、獲物が取れなかったときは外食で安直に済ますのだろう。 それは、それでいい。人それぞれだ。 だが、俺は、安易に妥協はしない。」 ふと目に入った、深夜営業のスーパーの白い照明が眩しい。 「今夜の俺の狩猟舞台は、ここだ!」 「間違いない、簡単に捕まえられそうなカモが、たくさん居るじゃないか!」 (※カモ肉は使いません。) もやし ー 1パック (もちろん、ミックスモヤシでもOK)…
■ プロローグ 深夜、ホテルのチェックイン前にコンビニに立ち寄った、原之足三郎。 しかし、コンビニの棚からは、焼きそばパンも、カップ焼きうどんも、跡形もなく消えていた。 三郎:「……焼きのつくものが、こうも見事にないとは。胃袋が焼きを求めている日に限って、これだ。」 しかし、三郎は諦めない。 焼けないなら、焼かずに焼きうどんを作ればいい。 この妙な意地が、夜の街を歩かせる。 ふと目に入った深夜営業のスーパーの蛍光灯が、やけに白い。 ゆでうどん (何も調味料がついていない、一番地味で安いヤツです。)…
今年、せめて一品だけでもお節料理を作ろうと黒豆を煮たところ、大量の煮汁が残ってしまいました。 この煮汁を無駄にしたくないので調べたところ、粉寒天を加えて数分煮るだけで「黒豆風寒天」ができるというアイデアに出会いました。レモン汁一滴加えることで、カンテンの海藻臭を抑えられることもわかりました。 実際に作ってみると、何の飾り気もない黒い塊が家族にも好評でした。 もしかして、これが賄い料理の本質なのか?と、気づいた瞬間でした。 黒豆を作った経緯については、下記の記事もご参照ください。 https://baneedksy.wordpress.com/2025/12/29/kuromame_ai/ 最近、テレビのグルメ番組だけでなく、飲食店のメニューでさえも「賄い料理」「まかないランチ」といったものを目にすることが少なくありません。 ですが、これって、お得感や「本物の味」をイメージさせようとする悪徳セールストークのようにさえ思え、なんだか、とても、… 変だと感じています。 自分で黒豆の煮汁から寒天を作ったこともあり、余計にその違和感が強くなりました。…
💡 十牛図とは 十枚の牛の絵になぞらえて人間の精神的な成長のプロセスを表したもので、仏教(特に禅宗系)で昔から用いられてきたものです。 近年ではマインドフルネスの普及に伴いビジネスフレームワークとして使われる場合もあります。 下の画像は、commons.wikimedia.orgでPublic Domain として公開されている複数の画像を、紹介用に一まとめにしたものです。 (Public Domain :…