孤独の自炊 #002:焼かない焼うどん (復刻版)

■ プロローグ
深夜、ホテルのチェックイン前にコンビニに立ち寄った、原之足三郎。
しかし、コンビニの棚からは、焼きそばパンも、カップ焼きうどんも、跡形もなく消えていた。
三郎:「……焼きのつくものが、こうも見事にないとは。胃袋が焼きを求めている日に限って、これだ。」
しかし、三郎は諦めない。 焼けないなら、焼かずに焼きうどんを作ればいい。 この妙な意地が、夜の街を歩かせる。
ふと目に入った深夜営業のスーパーの蛍光灯が、やけに白い。
■ 材料を仕入れるという、静かな戦い
ゆでうどん (何も調味料がついていない、一番地味で安いヤツです。)
カット野菜 (キャベツでも、ミックスもやしでも、何でも可)
鰹節パック (必須ではありませんが、あれば、おすすめ)
豚肉 (他の肉でも代用可能です。詳しくは文末にまとめます。)
三郎の足が止まる。
三郎:「……おお、これは……」
値引きシールが貼られた、売れ残りの豚バラが
深夜の冷蔵棚でひっそりと存在感を放っている。
三郎:「豚バラは裏切らない。脂が甘辛い
タレを引っ張り上げてくれる。
焼けなくても“焼きの気配”が出るんだよな。」
焼き鳥のタレ。または蒲焼のタレ。自宅なら、お手持ちの麺つゆでも。
三郎は、焼き鳥のタレを探したが、小さなものが見つからない。
しかし、魚売り場で小分けのウナギの蒲焼きのタレをみつける。
三郎:「タレは甘辛ければいい。焼きの影があれば、それでいい。」
日本酒の4合瓶。(吞まない人なら、少量の水でも代用可)
三郎は、特に高価格ではないが、酸味料などが入っていない
”純米酒”の4合瓶を手に取る。
三郎:「料理に少し、俺にたっぷり。4合なら心配いらない。」
「これで戦える。」
■ 耐熱袋という、即席の厨房
ホテルの部屋に戻り、 豚バラを手持ちの十徳ナイフで焼肉用の様に薄く切る。
三郎:「十徳ナイフは旅の相棒だ。
これがあれば、だいたいなんとかなる。」
包丁が脂を割るたび、 白い脂がふわっと柔らかく広がる。
三郎:「この脂……いい。料理が急に“色気”を帯びる。」
軽く塩をふる。
三郎:「塩は少しでいい。豚バラは余計なことをしないほうが旨い。」
三郎は「魔術」を開始する。 彼が使うのは、いつも鞄に数枚忍ばせている耐熱密封ビニール袋(例:ジップロックやリード冷凍保存バッグなど)だ。
耐熱密封ビニール袋は不適切なことがわかりました。🙇
別記事、孤独の自炊外伝で、対案をご紹介しています。💡
三郎:「これさえあれば、世界中のあらゆる場所が厨房に変わる。」
耐熱密封袋の底に豚バラを敷き、 純米酒(または水)をほんの少し垂らす。
三郎:「酒で脂が目を覚ます……この瞬間が好きだ。」
その上に、うどんとカット野菜を重ね、 甘辛いタレを回しかける。
空気を抜いて封をする。 袋の中に、小さな厨房ができあがる。
三郎:「袋ひとつで焼きうどん……無茶をしている。
でも、こういう無茶が腹を満たすんだ。」

■ 温度を操る、静かな儀式
まずは弱モードでじっくり温める。 豚バラの脂がゆっくり溶け出し、 タレと混ざり合って、袋の中に“甘い香りの霧”が広がる。
(量にもよりますが200Wなら5分程度。肉に8割がた火が通るまで。厚さが3mm以上の、厚めの豚バラの場合は、弱モードを6〜7分に延ばすと確実です。)
三郎:「……来てる。焼いてないのに、焼いたような香りだ。」
次に強モードで短く加熱する。 袋の中で豚バラがふわっと膨らみ、 野菜がしんなりと甘くなる。
(量にもよりますが500Wなら1分半程度。レンジ加熱では袋の上側から火が通るため、底の肉が白くなっていれば全体に火が通っています。)
三郎:「豚バラが入ると、料理が急に本気を出すんだよな。」
最後に袋を開け、醤油を数滴だけ垂らす。
三郎:「この一滴……これが“焼きの幻影”を完成させる。」
■ 深夜の救済
袋を開け、縁を数回折り曲げれば、簡易の皿の出来上がり。
三郎:「皿がなくても、袋があればいい。
旅の料理は、こういう簡素さがちょうどいい。」
豚バラの脂が湯気に乗って立ち上がる。
その横で、野菜がしんなりと光っている。
三郎は思わず息をのむ。
三郎:「……豚バラの重さに、野菜の軽さ。
いい……この“重軽バランス”がいい。」
残しておいた鰹節を振りかける。鰹節は湯気に揺れ、舞い踊っている。
三郎:「豚バラのコク、タレの甘辛、鰹節の香り……
そこに野菜の甘みが入ると、料理が急に整うんだよな。」
箸で野菜をひと口。
三郎:「うん……いい。脂をまとった野菜は、ただの野菜じゃない。
これは……“旨味のスポンジ”だ。」
そして、ふと気づく。
三郎:「……これだけ野菜が入ってれば、野菜不足の心配もないな。」
三郎は4合瓶の酒を茶碗に注ぐ。
三郎:「豚バラには酒。野菜にも酒。
結局、全部に酒が合うんだよな……」
焼いていないのに焼きうどん。
焼いていないのに香ばしい豚バラの香り。
そして、しっかり働く野菜。
三郎:「……いい。こういう夜が、たまに必要なんだ。」

■ 補足
豚バラ以外の肉でも代用できます
今回のレシピでは豚バラを使用しましたが、 スーパーで手に入る肉であれば、基本的にどれでも代用できます。
● 牛こま・牛バラ
脂の香りが強く、甘辛タレと相性が良く、焼きうどんらしさが最も出やすいです。
● 鶏もも肉
旨味が強く、タレとの絡みが良い。照り焼き風の味わいに寄ります。
● 鶏むね肉
ヘルシーで軽い。酒を少し多めに加えるとしっとり仕上がります。
● 合いびき肉
脂と旨味が強く、全体に“肉の香り”が広がります。
十徳ナイフ忘れていても、対応できますね!
● ベーコン・ハム
加熱時間が短く、燻製香が“焼きの代わり”になります。酒との相性も良いです。加工肉なので、個人的には発色剤(亜硝酸ナトリウムなど)を使っていない「無塩せき」タイプを選ぶことが多いです。(たまに食べる程度なら気にしすぎなくても良いという話もありますが、自分は大腸がんを経験しているので、習慣としてそうしています。)
自宅で作るなら(香ばしさに拘るなら)
茹で麺はチンしておきます。(500wなら1分ほど。)
肉や野菜をフライパンで炒め、ある程度火が通ったら、茹で麺を乗せ、めんつゆ、または白だし、あるいは焼き鳥のタレか蒲焼のタレを酒もしくは水で薄めたものをふりかけ、麺をほぐしながら全体を炒めればオッケーです。仕上げの鰹節もお忘れなく。
でも、レンチンだけでも、十分いけますよ。
私は、グルメ自慢や素人料理自慢をするつもりはありません。
いわゆる、「ライフハック」をオススメするつもりもありません。
無料調味料などを利用させていただく場合は、一緒にそれなりのお買い物をすることも節約生活を長続きさせるコツです。
この記事をを見て、何か自炊してみよう、と思うきっかけになれば、それで満足です。
- 本記事は、以前、noteに投稿していた記事の復刻版です。私はnoteを除名されたため、現在はnoteでこの記事をご覧いただくことはできません。
- 除名に至った経緯は カテゴリー:5243.t(note)について に詳しくまとめてあります。また、関連情報も 5243カテゴリー の記事として随時追加しています。
- この記事は、以前noteに投稿していた記事の復刻版です。復刻にあたり、note内のリンクは外し、当サイトでの該当記事へのリンクに変更しています。
