孤独の自炊 #004:ヤリイカの香草蒸し🦑


今日も、やっと仕事が終わった。
「今日はくたびれた。何か、買って帰ろうか…」

お惣菜屋のメニュー札、「焼きイカ」は裏返しになっている。

「売り切れか。そういえば、最近、スルメイカを見なくなった。
 あの、堂々とした胴体、つやつやした皮。」


スルメイカ お刺身にすると、白っぽいです。
屋台で「焼きイカ」といて売られています。
近年、不漁が続き、値上がりしているようです。

「あぁ、急にイカが食いたくなった! 腹が減った…」

気がつけばスーパーの魚売り場に。
片隅には、 薄皮がところどころ剥がれかけた、 どこかみすぼらしいヤリイカが並んでいる。


ヤリイカ お刺身にすると、透明感があります。

値下げシールが、まるで“余生”のように貼られている。 ……
だが、俺は知っている。 こういうやつほど、化ける。
「お前、まだ終わっちゃいないだろう」

独り言が自然と漏れる。 手に取ると、ひんやりとした重み。
胴の中にはワタがしっかり残っている。 墨袋も、うっすらと見えている。
「うん、これはいける。」

野菜売り場に寄る。 セロリが、しなびかけた葉を揺らしていた。
これもまた、値下げシール。
「お前もか……」
気づけば手が伸びていた。 こういう出会いは、悪くない。

酒売り場で日本酒(または白ワイン)を一本。
(飲まない人は、立ち寄り不要です。)

飲む分と、料理に使う分……まあ、境界は曖昧だ。
「余った酒? そんなものは存在しない」
と、誰にともなくつぶやく。

■ 簡単調理:袋ひとつで世界が厨房になる

ビジネスホテルの部屋に戻る。
狭い部屋にあるのは簡素な電子レンジ。
だが、俺には十分だ。 料理は環境じゃない。
素材と、そして酒と向き合う気持ちだ。

使うのは、鞄に数枚忍ばせている耐熱密封ビニール袋(例:ジップロックやリード冷凍保存バッグなど十徳ナイフだ。

耐熱密封ビニール袋は不適切なことがわかりました。🙇
別記事、孤独の自炊外伝で、対案をご紹介しています。💡

「これさえあれば、世界中のあらゆる場所がシーフードレストラン厨房に変わる。」

イカを耐熱袋に放り込む。 中骨は……まあ、いい。
今日は外さない。 ワタも墨も、そのまま。
塩をひとつまみ。

(余力があれば、中骨も外してください。
 目の傍の、胴体の少し尖ったところの辺りを手探りで探せばわかります。手で引っ張れば簡単に外せます。)

セロリは手持ちも十徳ナイフで細く切って放り込む。
(セロリなどの野菜は必須ではありません。お好みで。)

日本酒を大さじ1。 「飲む前に、お前にも一杯だ」 イカに酒をふりかけると、 自分まで潤うような気がする。
(入れなくても構いませんが、入れた方が香りがよくなります。)


今回は、小ぶりのもの3杯。約200g強。セロリと合わせ、300g弱です。

レンジの“普通モード”。 600W、1分半~2分。
イカは火を入れすぎるとすぐ硬くなる。 短く、潔く、だ。
チン、と軽い音。 取り出すと、皮が赤く色づき、 身は白く、不透明に変わっている。 ワタがぷっくり膨らんで、 「今だ」と言っているようだ。
(透明感が消えるころまでが加熱時間の目安です。)

セロリはしっとりと甘い香りをまとい、 イカの横で静かに寄り添っている。 「お前、いい仕事するな……」

プロバンスハーブをひとつまみ。 オリーブオイルを数滴。 湯気とともに、イカ墨の香りがふわりと立ち上がる。


自己満足用の盛り付けなので、美的ではなく、申し訳ありません。

箸で胴を切ると、 甘味がじんわり広がる。 足はコリッと旨味が濃い。 ワタは濃厚で、墨の香りが後から追いかけてくる。 セロリの爽やかさが、全体を軽くまとめてくれる。

「イタリアでは“イカの墨煮”というらしい。 ……まあ、名前はどうでもいい。 今日の盛り付けは、セロリを隅に置いて…… お前がメインだ」

酒をひと口。 イカをひと口。 また酒をひと口。

「骨?……うん、取ってないんだから、入っていて当たりだ。
 別に、口に刺さるわけじゃぁない。」

独り言なのか、誰かに聞かせたいのか、 自分でもよく分からない声が漏れた。

値下げシールのついたヤリイカとセロリ。
みすぼらしい出会いが、 こんなにも豊かな一皿になるとは。
料理ってやつは、ほんと分からない。

「さて……もう一杯いくか」🍶


お酒、セロリとも必須ではありません。
セロリの代わりに、玉ねぎ、長ねぎ、白菜、キャベツ、ブナシメジなど、手に入るもので色々お試しいただくのも、自炊の楽しみです。


私は、グルメ自慢や素人料理自慢をするつもりはありません。

いわゆる、「ライフハック」をオススメするつもりもありません。
無料調味料などを利用させていただく場合は、一緒にそれなりのお買い物をすることも節約生活を長続きさせるコツです。

この記事をを見て、何か自炊してみよう、と思うきっかけになれば、それで満足です。


  • 除名に至った経緯は カテゴリー:5243.t(note)について  に詳しくまとめてあります。また、関連情報も 5243カテゴリー の記事として随時追加しています。
  • この記事は、以前noteに投稿していた記事の復刻版です。復刻にあたり、note内のリンクは外し、当サイトでの該当記事へのリンクに変更しています。