孤独の自炊 #011:関西風貝スープ

地方を飛び回る、呑兵衛なフリーの雑貨商、腹之足三郎。
無事、今日も仕事が終わり、ビジホへ向かうの途中、
偶然見かけた地元のスーパーへ吸い寄せられた…
大阪の夕方、スーパーの雑踏
旅先のスーパーは、どうも胸がざわつく。
値下げシールの貼られた生鮮食品やお惣菜が、
「兄ちゃん、こうてくれんか~」
と言っているように見える。
今日は簡単なもので済ませたいので、レンチンでできるアサリの酒蒸しでもと魚売り場へ来てみたが、この頃、国産のアサリはあまりみなくなったような気がする。
代わりに見つけたのは、値下げシールの張られた、安いベビーホタテ。
小ぶりだが、身はしっかりしている。 思わず口が動いた。
「ホタテ?……ちゃうだー」
大阪に来ると、どうも言葉が勝手に転がる。
自分でもよく分からないが、まあいい。
ホタテでなくても大丈夫です。貝類だけでなく、イカやタコ、タラやサケでもいけます。ただ、塩分は味見をして調整下さい。
お総菜コーナーの|黄昏《たそが》れ
次に総菜コーナーに寄ると、 スティックサラダが値下げされていた。 ニンジン、セロリ、そしてキュウリ。
チャウダーの具にちょうどいい。
キュウリは……まあ、つまみにしておくか。
さらにポテサラも安くなっていた。
これがあれば、乳製品なしでもチャウダーになる。
じゃがいもは偉大だ。
煮崩れた姿がスープのとろみになる。
人間も、少しくらい崩れた方が味が出る…… なんてことを考えながら、カゴに入れた.
ネギ、玉ねぎがあったら、ぜひ加えてください。
なお、チャウダーは「大鍋で煮込む料理」が語源で、必ずしも乳製品を使う必要はないという説明が、複数の料理サイトやレシピ本でも見られます。
三郎の|厨房《キッチン》
ホテルに着く。 狭い机の上に、いつもの道具を並べる。
十徳ナイフ
耐熱密封ビニール袋(例:ジップロックやリード冷凍保存バッグなど)
耐熱密封ビニール袋は不適切なことがわかりました。🙇
別記事、孤独の自炊外伝で、対案をご紹介しています。💡
これだけあれば、どこでもキッチンになる。
旅先の料理は、道具より気持ちだ。
お笑い、ではない、料理の”仕込み”
スティックサラダのニンジンとセロリを 十徳ナイフでざくざく切って袋に入れる。
ポテサラを大さじ三杯ほど。 水とコンソメを少し。
袋の上から揉むと、急に“スープの顔”になる。
「お前、化けるな……」
ベビーホタテを沈め、 飲む前の白ワインを小さじ一杯だけ垂らす。
「お前にも一杯、だな」
こういう時だけ、妙に優しくなる。
日本酒でも結構です。ワイン、お酒とも必須ではありません。
お水でも大丈夫です。
食前の ”レンジ1分半” の儀式
袋の口を軽く閉じて、レンジへ。 600Wで1分半。

袋がふくらみ、ホタテの出汁が立ち上がる。
この瞬間が好きだ。 料理というより、儀式に近い。
取り出して、黒胡椒を振る。
袋の中は、立派なチャウダーだ。
乳製品なしでも、十分に濃い。
キュウリをかじりながら、 袋の口を開ける。
実食……そして“赤い事故”
スプーンを入れようとした瞬間だった。
ぽとり。
ケチャップが落ちた。 さっきつまみに使った皿の縁に残っていたやつだ。 スープが赤く染まる。
「……おいおい」
赤い。 まるでマンハッタン風チャウダーだ。
いや、これは事故だ。 事故だが、悪くない。
思わず声が漏れた。
「何しはったん、ホタテ?……ちゃうだー!」
酔いが回ると、こういうのが止められない。
大阪の夜は、どうも自分を軽くする。

ビジホであれば調理袋のままお召し上がりいただけます。
スプーンを口に運ぶ。 ホタテの甘味。
ポテサラのとろみ。 ニンジンの優しさ。 セロリの香り。
そして、ケチャップの赤い酸味が、 思いがけず全体をまとめている。
「……うん、これはこれで、ありだな」
旅先での料理の失敗
旅先の料理は、失敗も含めて旨い。
いや、失敗が旨いのかもしれない。
袋を置き、白ワインをひと口。
大阪の夜が、少しだけ遠くなった。
おさらい (早い話が、この記事の要約)
家庭でも簡単に作る“乳製品なしチャウダー”
材料
・お手持ちの魚介(ベビーホタテ、アサリ、タラ、etc)
・お手持ちの野菜
・マッシュポテト or 小麦粉
・コンソメ or 塩コショウ
・お酒(日本酒、ワインなど。)または 水
作り方
適当にぶった切って、野菜が柔らかくなるまで煮てください。
味付けは、味見をしながら、お好みで。
応用
乳製品や、ココナッツミルクなどを加えるとコクが増します。
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