孤独の自炊 #000:原之足三郎の下仁田ネギ物語 (復刻版)

 

原之足三郎について

 

  • 職業: 地方を飛び回るフリーの雑貨商

  • 特徴: カバンの中に、常に十特ナイフ、耐熱密封ビニール袋(例:ジップロックやリード冷凍保存バッグなど)が忍ばせてある。(その他は必要に応じて現地調達。)
    酒は大好き だが、無理強いはしない。
    親父ギャグが嫌われることは知っているが、つい独り言の様に呟いてしまう。

  • 口癖:「……よし、今夜の主役(格安食材)は決まった。」

※耐熱密封ビニール袋は不適切なことがわかりました。🙇
 別記事、孤独の自炊外伝で、対案をご紹介しています。💡


プロローグ:どこかの街の、冬の夕暮れ

三郎:仕事終わりの三郎は、駅へと向かう道すがら、酒屋で旨そうな四合瓶の日本酒を手に入れた後、小さな野菜直売所に足を止める。

「……お。いたな。下仁田か。今じゃ、群馬以外でも手に入るようになったんだな。」

三郎:店の隅っこにある、葉が茶色く枯れ、泥まみれで、値引きシールが付けられた下仁田ネギの束を手に取る。

「これだ。この、一見するとゴミ捨て場に直行しそうな……『熟れきった絶望感』。しかし、この内側に秘められた糖度の気配は、もはや果物に近そうだ。

世間は、青々と輝くネギに拍手を送るだろう。だが、俺はこいつの『沈黙の甘み』に賭ける。よし、一本、いただいていこう。

……今夜の主役(メイン)はお前だ。」

三郎:その後、コンビニでパックご飯と、ごま油の小瓶、チューブニンニク(保存性を考えればガーリックパウダーなどでも可)を買い込み、ビジホへ向かう。


献立:下仁田ネギの「酒蒸し」

 

三郎:部屋に入って、備品を確認する。

「……やっぱり、ビジホだ。室内にもレンジがあるじゃないか。よし、今夜俺が求めている、下仁田ネギという名の『純結晶』を楽しもうじゃないか。」

三郎:ネギの青い部分の境界線に十徳ナイフの刃を当てる。

「家庭なら、この青い部分も『もったいない』と刻んで味噌汁に入れるだろう。だが、今夜の俺が求めているのは、下仁田ネギという名の白い『純結晶』だ。」

三郎:迷いなく、バッサリと青い部分を切り落とし、冷蔵庫にしまった後、おもむろにカバンから、捨てずに洗ってとっておいた耐熱密封袋を取り出す。

「ただ包んでチンするだけじゃ蒸気が逃げて、ただの『茹でネギ』の劣化版だ。しかし、今ここには、酒もある。」

三郎:四合瓶の封を切る。

「いい香りだ。まずはこいつを……ネギに捧げよう。贅沢な話だが、これを少し振りかけ、密閉して蒸し上げることで……これは『酒蒸し』という名の立派な一品料理に昇華するはずだ。

こいつは、じっくりと時間をかけて蒸らさなければ。そう、レンジなら、弱モードで。1本なら、200ワットで10分加熱、その後余熱でもう少し蒸らせばいいだろう。 

出来上がるまで、SNSの投稿でも見ることにしよう。

ん? 葱坊主? この記事も面白そうだ。」

葱坊主の秘密 ― 五葷供養と不精進料理の物語(Substack復刻版)

三郎: レンジの、チーン♪ で我に返る。

「……う~ん…それなりには出来上がっているように見えるが、何かが足りない。……『香りと視覚』だ。あの直売所で見た、あの焦げた枯れ葉の香ばしさ。それらが足りない。」

三郎:窓を全開にする。入ってくる寒風に襟を立てながら呟く。

「……寒い。だが、この寒さこそが下仁田ネギを甘くした正体だ。俺も同じ条件で向き合わねば失礼だろう。」

三郎:ジャケットの内ポケットから愛用のターボライターを取り出しす。

「……よし。お前の出番だ。」

三郎:ターボライターから噴き出した青白い鋭い炎でネギを炙りつつ、うちわ代わりのパンフレットで、煙を丁寧に窓の外へと誘導する。

「……行け。煙よ、火災報知器には見向きもせず、夜の闇に消えていけ。……よし、いい流れだ。」

三郎:じりじりとネギの表面を炙り続ける。シュウシュウと音を立て、ネギの糖分が焦げる、えも言われぬ香りが立ち上がる。

外側の皮が少し焦げてきたところで、窓を閉めて一気に部屋を密閉。残されたネギの香りを独占する。

「これだ……。この『焦げ』こそが、下仁田の甘みを引き立てる額縁(フレーム)になる。……よし、完成だ。華やかな店構えも、気の利いたお通しもいらない。今、このデスクの上にあるものが、この街で一番の贅沢だ。」

※ ターボライターでの炙りは、小さなものの時にお試しください。
大きいものの場合、時間がかかり、ライターも過熱の恐れがあります。
手間はかかりますが、一度に、全部炙るのではなく、一口お召し上がりになる都度炙ると、その都度、新鮮な香ばしさが楽しめます。

【実食】

三郎:ハフハフと頬張る。目がカッと見開く

「……! なんだこれは。甘い。暴力的に甘いぞ! ネギの概念が、根底から崩れていく……。見た目の美しさに騙されている連中には、一生たどり着けない境地だ。」

三郎:おもむろに、4合瓶に手を伸ばす。
「……よし、今度はお前の出番だ……」

三郎:残った4合瓶を飲み干して、眠りにつく。


献立:下仁田ネギの「焦がし青葉のスタミナ蒸し」

 

三郎:翌朝、目を覚まし洗顔後、インスピレーションが閃きだす。

「……さて。昨夜の『純白の饗宴』の陰で、静かに出番を待っていたヤツがいる。……お前だ。」

三郎:冷蔵庫から、昨夜切り落とした「青い部分」を取り出す。普通のネギより厚みがあり、中にはまだトロリとした粘液(ヌメリ)が詰まっている。それを5ミリ幅の輪切りにする。

「……このヌメリこそが元気の源。これを逃がさず、火の力で旨味に変える。」

三郎:カバンに残しておいたアルミホイルを取り出す。

「フライパンはない。だが、このホイルを皿状に成形すれば、即席のグリルパンに早変わりだ。」

三郎:昨夜の残りの「岩塩」、そしてコンビニで手に入れた「チューブニンニク」と「ごま油」を青い葉に和える。

「青臭さを、ニンニクと油のパンチでねじ伏せる。これが、朝の戦闘服だ。」

三郎:ホテルのオーブントースター(あるいは最悪、借りてきたアイロン)で、ホイル包みを加熱。

「……ククク。青い葉が焼ける、この野生的な香りがたまらん。白身の優雅さとは対極にある、泥臭いまでの生命力だ。」

【実食】

ホイルを開けると、そこにはクタクタになり、少し焦げ目のついた濃緑のネギが。

三郎:チンしたパックご飯の上にそれを乗せ、豪快に口へ運ぶ。

「……! 強い。昨夜の白身が『静』なら、この青身は『動』だ。噛みしめるたびに、ネギ特有の辛味とヌメリが、ニンニクの香りと共に脳を叩き起こしていく。」

三郎: 一気に完食し、冷たい水を飲み干す。

「……よし。下仁田ネギ、一株まるごと完食。……これで今日の現場(商談)も、粘り強く戦えそうだ。」


【エンディング】

三郎は、最低限のゴミを、香りなど出ないよう分別して包んでからゴミ箱に入れホテルを後にする。


 

三郎の話を聞いて、私も試してみました。
食器には、あまりこだわりは有りません。
盛り付けも雑で申し訳ありません。
この写真での炙りは、実は、バーナーで炙っています。 
後日、小さく切ったものをターボライターで試し、追加いたします。

この作品はフィクションで、以下の出版社からの提供を検討しています。

チクワブ書房

食料品についてのテーマを中心に、物事を幅広い見方で深く検証された書籍を刊行されている地味な出版社です。

主な他の刊行物:

  • 「無有ミント…清涼感の必要性についての考察」(全14巻)

  • 「最悪なのか?下下下の金太郎飴」(全7巻)

  • 「おい、辛抱しろ」シリーズ


私は、グルメ自慢や素人料理自慢をするつもりはありません。

いわゆる、「ライフハック」をオススメするつもりもありません。
無料調味料などを利用させていただく場合は、一緒にそれなりのお買い物をすることも節約生活を長続きさせるコツです。

この記事をを見て、何か自炊してみよう、と思うきっかけになれば、それで満足です。


  • 除名に至った経緯は カテゴリー:5243.t(note)について  に詳しくまとめてあります。また、関連情報も 5243カテゴリー の記事として随時追加しています。
  • この記事は、以前noteに投稿していた記事の復刻版です。復刻にあたり、note内のリンクは外し、当サイトでの該当記事へのリンクに変更しています。