孤独の自炊 #006:「義理タンポ」鍋

吹雪の秋田での仕事を終え、関東に戻る新幹線。昨夜食べた「本場」のキリタンポ鍋は、確かに絶品だった。特に、天然の舞茸は、地元でもなかなか手に入らない、とても貴重なものだったようだ。 だが、お会計の数字もまた、これまた立派なものだった。地元の方はこういう時『ドデした(驚いた)』と言うらしい。あいにく『どうでした?』と感想を聞けるような雰囲気ではない。ただ、ただ、その数字に、俺の財布がドデしていた。 「美味いものには代償が伴う。それは、わかる。…… だが、俺の日常は、もう少し気楽な、別の場所にあるはずだ」 明日の埼玉での仕事に備えて、大宮駅で下車し 予約したビジネスホテルへ向かう途中のスーパー。 秋田ではあんなに探しても見当たらなかった、手ごろな「白き円筒」が、ここでは当たり前のような顔をして、百円程の値を提げて山積みされている。 キリタンポ一袋分で、この円筒が何本買えるだろう。 ……そんな無粋な計算は、よそう。 大事なのは価格じゃない。…