孤独の自炊 #005:悲しいレンコン

※見出し画像のレンコンの断面はAI生成です。
呑兵衛ながら自炊もする、フリーの輸入雑貨商の腹之足三郎は、天草諸島での仕事のあと、帰りの熊本駅の土産物屋で、本物の辛子蓮根を見つけた。

黄金色の衣、ぎっしり詰まった辛子味噌――
「……これは、職人の仕事だ。」
その完成度に見惚れつつ、三郎は静かに頷く。
「この手間、この歴史。値段にも理由がある。」
ただ、ふと思う。
九州を離れれば、この味にはなかなか出会えない。
それがまた、本物の価値を際立たせていた。
「本物は本物として尊い。
だが、旅先の夜に“自分なりの影”を作ってみるのも悪くない。」
そう思い、三郎はスーパーへ向かった。
「よし、今夜はビジホの電子レンジで、
辛くて涙がでるくらい、“悲しい蓮根”を
作ることにしよう。」
スーパーにて:主役との出会い
駅前のスーパーに入る。
野菜棚の片隅に、ひっそりと置かれた蓮根のパックがある。
「……いたな。
この、誰にも選ばれず、冷気に晒されていた“孤独な蓮根”が。」
手に取ると、少し乾き、端が黒ずんでいる。
しかし三郎は微笑む。
「お前はまだ戦える。
俺が“悲しい蓮根”に仕立ててやる。」
ついでに、辛子味噌の材料を買い、 三郎はビジホへ向かう。
■ ビジホの部屋:儀式の準備
部屋に入ると、いつもの確認をする。
「……よし。電子レンジ、健在。
湯沸かしポット、無駄にピカピカ。」
三郎はカバンから愛用の十徳ナイフを取り出す。
「さて、今夜の主役は“悲しい蓮根”だ。」
■ 調理:静かな狂気の時間
蓮根を1cm厚に切る。
「……この無機質な音がいい。 旅先の孤独を刻むようだ。」
小麦粉と油、そしてターメリックを混ぜ、 “焼き衣”を作る。
「ターメリックがない? 問題ない。
カレー粉だっていいじゃないか。
カレー粉の香りが、むしろ“旅情”を演出する。」
蓮根の片面に薄く塗り、レンジへ。
600W、3分。チーン♪
「……ふむ。 悪くない焼け色だ。」
続いて辛子味噌を作る。
味噌、チューブ辛子、酢。
「この酢がいい。
辛味を揮発させ、鼻にツンとくる“悲しみ”を呼び起こす。」
蓮根に塗り、仕上げに粉辛子をひとつまみ。
-- 材料と調理方法のおさらい --
● 材料(2人分)
蓮根
200g(1cm厚の輪切り)
焼き衣(あらかじめ混ぜておく)
小麦粉:小さじ2
油:小さじ2
ウコン(ターメリック)またはカレー粉:耳かき1〜小さじ1/4
水:小さじ1
辛子味噌
スーパーで売っている以下のようなものが使えます。
焼肉用の辛子味噌
辛味噌
コチュジャン入り辛味噌
味噌+唐辛子系の万能味噌
※ 普通の味噌を使う場合は白みそなど甘めの物にチューブ辛子を加え、更に、少し酢を加えてください。 ※ 酢味噌は方向性が違うため、あまりおすすめしません。
その他
粉辛子(からし粉)少々 (必須ではありません)
● 作り方
① レンジ版(メイン)
蓮根を1cm厚に切り、水にさらす
水気を拭き、焼き衣を片面に薄く塗る
耐熱皿に並べ、ラップなしで600Wで3〜4分
加熱した蓮根に辛子味噌を塗る
粉辛子をひとつまみ振って完成
② オーブントースター版
アルミホイルに薄く油を塗る
焼き衣を塗った蓮根を並べる
1000Wで7〜10分(180〜200℃の場合)
辛子味噌を塗って完成
→ レンジより香ばしさが強い。
③ フライパン版
蓮根に焼き衣を塗る
フライパンに薄く油をひく
中火で両面をこんがり焼く 水少々を入れ蓋をして蒸し焼きにすれば早く火が通ります。
辛子味噌を塗って完成
→ 最も香ばしく、食感も良い。

でも出張中なら、こんなもんでしょう。

■ 実食:涙の理由
三郎、蓮根を口に運ぶ。
鼻に抜ける辛味。
蓮根のシャキッとした歯ごたえ。
「……ッ! 来たな、この暴力的な辛さ。
味噌の甘みが一瞬慰めるが、すぐに裏切る。涙が止まらない。
これだ……これが“悲しい蓮根”だ。」
■ エピローグ
「熊本の辛子蓮根は確かに旨い。
だが、旅先のビジホで作る“悲しい蓮根”も悪くない。
孤独な夜に寄り添う、ささやかな儀式だ。」
三郎、球磨焼酎のお湯割りを口に運ぶ。
「……この、飾りすぎない香りの米焼酎が、
レンコンの風味をそっと押し上げてくれる。
俺も、明日の現場で、涙を流さず、戦えそうだ。」
(了)
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