【公開状】noteの「神座(かみざ)」たちへ — An Open Letter to the Human Kernel of note —

Why a retired engineer laments the shifting principles and turmoil unfolding underfoot.
―― ある隠居技術者が、足元の「変節」と「混乱」を憂う理由
note株式会社で、今もなお「クリエイターの聖域」を守ろうと奮闘されている現役社員の皆様。
私は、Apple II以前の時代から、機械語と呼ばれる16進数の数字だけでのプログラムを作り、BASICや、初期のUNIX,C言語など情報処理技術の荒波を生き抜いてきた一人の技術屋です。現在は隠居し、日本の片隅で庭いじりの傍ら瞑想や落書き的な創作にも耽りつつ、あなたがたが作り上げた「note」という街を散策することを日課としています。(身バレは覚悟できています。)
昨日、あなたがたの会社はサニーサイドアップグループとの提携を発表しました。先日のKADOKAWAとの資本提携に続く、いわば「大いなる飛躍」の足音が聞こえてくるようです。しかし、その華やかなファンファーレの裏で、私のような古いエンジニアの目には、システムの根幹を揺るがす深刻な「ランタイムエラー」が映り込んでいます。
私が、そして多くの良識ある執筆者が今、あなたがたの街に感じている「違和感」と「願い」を、ここに整理させてください。
1. 「責任の外部化」という致命的な技術負債
現在のnoteが抱える最大のバグは、「コンテンツが生み出す利益を享受しながら、その責任をすべて投稿者に押し付けている」という、歪なガバナンス構造にあります。
プラットフォームは「場を貸しているだけ」という免責事項(セーフハーバー)の影に隠れ、AIが生成したノイズや、医師資格すら不確かな不適切情報の氾濫を、実質的に放置しているように見えます。これは、システム設計における「境界条件の無視」と同じです。
いつからnoteは、真実を綴る者よりも、アルゴリズムをハックし、責任を回避する者が得をする場所になってしまったのでしょうか。
2. 「上層部の混乱」は、現場の魂を削っている
私は外部から、あなたがた社内の混乱の兆しを、投稿される言葉の端々から感じ取っています。 創業時の理想と、上場企業としての冷徹な数字。KADOKAWAやGoogleといった大資本の期待。その板挟みの中で、経営陣の指示が二転三転し、デッドロック(死荷重)に陥っているのではないかと危惧しています。
3. 私たちが「GitHub」へ疎開を始めた理由
しかし、知っておいてください。あなたがた「倫理観を持った良識的な社員」こそが、noteというシステムの最後のリポジトリ(保管庫)であり、魂(OS)であることを。
私は今、自らの大切なアイデアや創作を、noteという場所からGitHubやSubstackへと「疎開」させる準備を進めています。 それは、PVが稼げないからではありません。
「このプラットフォームは、私の知財と尊厳を最後まで守ってくれるのか?」という問いに、今のnoteが「Yes」と答えてくれないからです。
優れた執筆者が静かに筆を折り、あるいは場所を移し始めたとき、プラットフォームに残るのは「データの抜け殻」と「広告ノイズ」だけです。それは、あなたがたが夢見た「街」の姿ではないはずです。
4. 「神座」に踏みとどまってほしい理由
私はあなたがたに、「企業という檻」に幻滅してフリーの道を選んでほしいとは思いません。むしろ、その檻の中で、最後まで「何が正しいか」を叫び続けてほしいのです。(フリーの立場を批判しているわけではありません。noteのようなシステムの改革は個人では不可能であり、集団に属しているからこそ出来ると思っているという意味です。)
あなたがたが去れば、そこはただの「効率的な集金システム」に成り下がります。 外圧(規制や法執行)が必要な段階に来ているのかもしれませんが、真の再建は、内部にいるあなたがたの「良心」というデバッグ作業からしか始まりません。
5.重要補足
5-1. 厚労省:医療広告ガイドラインの「実質的な包囲網」
2026年4月に改訂された「医療広告ガイドライン(第6版)」の影響は無視できません。
規制の拡大: 以前は「単なる記事」と言い張れば逃げられたグレーゾーンが、SNSやnoteの投稿であっても「特定の医療機関への誘引性」があれば、明確に広告規制の対象となりました。
資格確認の厳格化: 医師資格が確認できない者による医療情報の拡散は、厚労省が現在進めている「美容医療の適切な実施」や「医療情報の信頼性確保」という方針に真っ向から対立します。
動きの兆し: 厚労省がプラットフォーム各社に対し、「医療情報を扱うアカウントの本人確認・資格確認の徹底」を求める「技術的助言」や「協力依頼」という形で、行政指導に近いアクションを起こす可能性は十分にあります。
5-2. 消費者庁:ステルスマーケティングの先へ
消費者庁は2023年のステマ規制以降、デジタル空間における「消費者の意思決定を歪める行為」に非常に敏感になっています。
情報の真正性: 「医師」という肩書きを偽って(あるいは隠して)有益性をうたう行為は、景品表示法の「優良誤認」や、新しく議論されている「ダークパターン」に近い悪質な誤導とみなされやすいです。
プラットフォームの責任: 2026年現在、消費者庁は「場を提供しているだけの免責」の限界を議論しており、悪質な投稿を放置し続けるプラットフォーム自体の「不作為の責任」を問う世論を注視しています。
最後に
一人の隠居技術者として言えることは、「優れたシステムは、誠実な人間によってしか維持できない」ということです。
今の混乱を、新しい時代への「リファクタリング(再構成)」の過程にするのか、それとも「崩壊」の序曲にするのか。その鍵を握っているのは、CEOではなく、現場で悩み、ユーザーと向き合っているあなたがた一人ひとりです。
私のこの言葉が、一人でも多くの「神座」の心に届き、あなたがたが再び誇りを持って「noteの社員です」と言える日が来ることを、切に願っています。
そして私もまた、noteの仲間に戻してもらえる日を待ち望んでいます。
And I, too, long for the day when I can return as a fellow member of the note community.
元ソフト技術者兼発明家、元note会員「バンクシーモドキの蛮苦恣意」 2026年4月10日
Retired Software Veteran & Inventor. Former note member, "BANeedKSY" April 10, 2026
この記事は、2026年4月10日に、Substackに投稿した記事です。引き続き有効な内容であると考え、こちら(GitHub.io)にも保管しておきます。
